安倍晋三首相を首班とする安倍内閣は、森友問題が世間の耳目を集める陰で321日、組織犯罪処罰法改正案を閣議決定した。これを受けて自公与党は46日から衆議院本会議での審議入りを合意し、今国会会期中の成立を目指している。この法改正案は、これまで3度にわたり国会に上程されて廃案になった「共謀罪」を、「テロ等準備罪」の名のもとに創設するもので、これまで安倍政権が進めてきた「戦争のできる国づくり」の一環であることは明らかである。

 「テロ等準備罪」と称して、これが国際組織犯罪防止条約への参加の必要条件で、2020年東京五輪開催の必要条件でもあるかのごとく説明されているが、そうでないことは他国の例を見ても明らかである。「一般人には適用されない」とも説明されるが、「一般人」の基準は明確ではなく、「一般人」か否かを判定するのは警察・検察等の法執行機関の胸三寸となっている。さらに、「著作権の侵害」も対象とされており、著作権の固まりである映画製作の大きな阻害要因となり、「忖度」により自主規制が進むことが懸念される。

 また、「テロ等準備罪」と称してはいるが、報道によれば、当初はテロという文言がなかったということであり、そこからも、この法改正案の真の目的がテロ防止ではないところにあることが読み取れる。すでに、昨年末の刑事訴訟法改正では、取り調べの全面可視化は盛り込まれず、司法取引や通信傍受など警察・検察等の権限が大幅に拡大されている。その文脈で今回の法改正案を見ると、権力者にとって都合の悪い動きを芽のうちに摘み取ることが目的で、戦前の治安維持法による社会統制の再現を目指しているとしか考えられない。

 実際、特定秘密保護法や安保法制が制定されるなど情勢が悪化するなか、中央政府の意向を「忖度」する地方自治体の現場では、すでに各種文化活動への後援の拒否や、会場等の貸出拒否、住民の文化活動への圧力などの実例が、近年少なからず報告されるようになっている。憲法で守られている基本的人権、思想及び良心の自由、集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由が蹂躙、抑圧される暗黒時代の到来は、杞憂でなくなりつつある。

 暗黒時代には、文化活動の自由も踏みにじられる。日中・太平洋戦争時の映画人はどうであったか。侵略戦争、絶対主義的天皇制に異を唱える映画人は獄中に入れられ、映画を作る自由を奪われ、他方、自らが意図しない戦意高揚の国策映画を作らされてきた。私たちは二度とこうした日本になることを許してはならない。

 日本映画復興会議は、これまで日本映画の文化的・産業的復興と民主的な再生をめざして活動を進め、「平和と民主主義を守り、戦争に反対し、ヒューマニズムの理念に徹した日本映画の業績」を顕彰する日本映画復興賞を運営してきた。この私たちの運動に逆行する安倍政権による共謀罪創設と、これを含む「戦争のできる国づくり」の体制整備の動きのすべてに、私たちは断固として反対するものである。

2017325

第48回日本映画復興会議全国集会

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